宅配便の配達員、短期アルバイト中のギョロメちゃん。お客様のヴァンパイアに勧められたジュースは真っ赤です。
ヴァンパイア「あ、もしかして、血じゃないかなって心配かな? 大丈夫。これはトマトジュース!」
ギョロメ「トマトジュースを飲むんですか…? 僕はてっきり…」
怖がりなギョロメちゃんは、言葉につまってしまいました。
ヴァンパイア「血を飲むかって? そりゃ、昔は飲んだけど、500年前くらいにやめたんだ。元々、かみつくのは好きじゃないんだ。美しくないから…」
ギョロメ「はぁ」
ヴァンパイア「それで、生の血液が手に入りにくくなって、あと、コンプライアンスっていうの? なんか、いろいろと面倒な時代になったからね」
ギョロメ「…血を飲まなくても大丈夫なんですか?」
ヴァンパイア「徐々に、トマトジュースに切り替えたんだ! 人間でいうところの禁煙に近いかもね。最初はつらかったけど、慣れたら、楽だよ! もう血が手に入らないことにイライラしなくていいんだって!」
ギョロメちゃん「そうなんですね…」
ヴァンパイア「中でもこのジュースはピカイチだよ。ブラッドオレンジが入っていて、濃厚な味わいに、ほどよい酸味が加わって、ビタミンCが豊富さ。通販サイトのヴァンパイア専用ランキングも、不動の1位!」
まるでCMのように、パッケージを手に取り、にっこりと笑うヴァンパイア。牙のように長い犬歯から、トマトジュースの赤いしずくがキラリと輝きます。
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