小説家の話、昨日の続きです。
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2 小説家に声をかけたのはスーツ姿の男だった。小説家と目が合うと、微笑んだ。
男「私、○○先生の大ファンなのです。お目にかかれて、光栄です」
小説家「ありがとう」
男は小説家の手の下にひかれた白い原稿用紙に、目を走らせた。
男「新作の執筆中でいらっしゃるのですね。もし、よろしかったら、このペンをお使いください」
取りだしたのは、珍しい柄の万年筆だった。小説家は万年筆を集めるのを趣味としており、コレクションはよく雑誌にも取り上げられた。
小説家「おお、これは初めて見るものだな。どこのメーカーなのだろう」
男「今はもうない小さな工房で作られたものです。どうぞ、使ってみてください」
小説家「いやいや、他人の万年筆は使えないよ。素敵なものを見せてくれてありがとう」
男「いえ、実は新品のまま、譲り受けたのです。私にはもったいなくて、とても。ここで先生と出会えたのも何かのご縁。もし良かったら、ファンからの贈り物として受け取っていただけないでしょうか」
小説家「本当に良いのか」
受け取った万年筆は、窓からの光を受けて、光り輝いて見えた。
男「ええ。この工房の万年筆の書き味は格別だそうです。何でも、書くのが止まらなくなる『魔法の万年筆』だと」
小説家「それは楽しみだな」
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明日に続きます。
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