先日、森アーツセンターギャラリーで開催中の「世界遺産 ポンペイの壁画展」を観に行きました。
世界史の図録や、西洋美術史の授業で見ることはありましたが、本物の壁画は初めて見ます。
チラシに書かれている紹介文より。『紀元後79年、火山の噴火という悲劇的な終焉により、時代を瞬時に閉じ込めたポンペイの町。18世紀に再発見されたポンペイの遺跡は、古代ローマの人々の豊かな暮らしを今に伝え、世界中と魅了し続けています』
ヴェスヴィオ山の噴火により一昼夜にして、火山灰に覆われたポンペイ。古代ローマ人はさぞかしパニックになったことでしょう…と、考えていたら、「パニック」は、ギリシア神話の牧神パンから来ていると本で読みました。
『パニックという言葉は、ギリシャ神話に登場する”パン”という半獣神の名に由来する。パンは、額に角を生やし、足にはヤギの蹄がある。もともとは、ギリシャのアルカディア地方で、家畜を飼う牧人たちの神であった。…中略… 彼はパンパイプという葦笛を吹き、歌と踊りと酒が大好きな陽気な神である。』
パンは、ポンペイ展ポスターに使われている「赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス」の左上に描かれています。左手前に描かれているのは、アルカディア地方を擬人化した女性です。自分でもパンを描いてみました。
昼寝好きな神様で、『彼の昼寝を邪魔するようなことがあろうものなら、怒り狂ったパンは、大きな音を立てて、人や動物に言い知れぬ恐れを与えるという。そうすると、人びとは恐怖にかられて、親は子を忘れ、子は親を忘れて、理性や判断力をかなぐり捨てて逃げまどう。一般に、非理性的で、異常な集団的な逃走行動を、パニックと呼ぶようになったのはそんな理由からである。』
「人はなぜ逃げ遅れるのかー災害の心理学」 広瀬弘忠著 集英社新書
本にはヴェスヴィオ山の噴火犠牲者の石膏型を見た時のことも記されています。また、展示にも写真がありました。
展示のメインはもちろん壁画。火山の噴火は悲劇ですが、分厚い火山灰がタイムカプセルとなり、2000年後の現代で、ポンペイ遺跡がまとまって見られるのは、不思議な気分ですね。
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