「少年と少女」シリーズの続きです。
バレンタイン当日に待ち合わせた男の子と女の子。二人で喫茶店に入ります。
女の子「チョコレートケーキ一つと、紅茶を二つお願いします」
男の子「えっ、何でケーキ一つだけなの?」
女の子「…今日はバレンタインだもの」と微笑みます。
しばらくして運ばれてきたチョコレートケーキには、トランプが1枚ささっていました。
女の子「わぁ! 素敵」と手を合わせます。「これが『続き』なのね」
男の子「…どういうこと?」
女の子「さっき、大道芸をしていたマジシャンさんに『素敵な渡し方はないかしら』って、聞いていたの。チョコレートケーキを食べることは伝えたんだけど…。そうしたら『きっと、マジックの続きが見られるよ』って」
男の子「ふうん…(ずいぶん、気障なマジシャンだな)」
女の子「どの店で食べるとかまでは言わなかったのに。なんで分かったんだろう?」
男の子「そりゃあ…、近くで美味しいチョコレートケーキが食べられるお店はここくらいだもの。ねぇ、そうでしょ? ペンギンさん」
ペンギン「お褒めにあずかり光栄です。さあ、どうぞ召し上がって下さい。トランプはチョコレートなので食べられますよ」
女の子「美味しそうなトランプね」
男の子「バレンタインだから、僕が全部食べて良いんだよね?」丁寧にチョコレートのトランプをのけて、ケーキを食べ始めました。
女の子「もちろん! だって、私はずっと…」
男の子「何?」
女の子「ううん! 何でもない」と、はにかみます。
トランプはハートのA。男の子は最後にカードのチョコレートを食べました。
…去年のバレンタイン時期から話を書いている「少年と少女」シリーズ。気がつけば1年も経ったのですね。
トランプは英語でplying card、もしくはcard。トランプは切り札(trump card)の意味だそうです。バレンタインは日本でチョコレートを渡す日として定着していますが、本来は恋人同士や家族、友人とカードを贈ったりするそうです。なので、トランプとカード、ハートを交えた話にしました。
ハートのAは、切り札になったのでしょうか?
-
- 作品ランキングTOP3
-
最近の投稿
- 記事ランキングTOP3
カテゴリー
アーカイブ