バレンタイン・マジック〈前編〉

本日は「少年と少女」シリーズです。


バレンタインデー。男の子は公園で、女の子と会う約束をしました。ずっと待っているのに、彼女は中々、来ません。何かあったのかもしれないと心配になりかけたとき、ようやく姿を現しました。

女の子「お待たせしちゃって、ごめんね!」と男の子に駆け寄ってきました。「大道芸のマジックを見ていたら遅くなっちゃった」

男の子「そう…。何だか今日はずいぶん、身軽だね…」

女の子「うん! 手ぶらで来ちゃった!」

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男の子は目を丸くしました。今日はバレンタイン。会う約束をしているのだから、当然のごとくチョコレートがもらえるのだと思っていました。そもそも、おでかけに誘ったのは女の子です。

男の子(僕と約束しているのに、一人でマジックを見ていたなんて! 遅刻したのに、ちっとも悪びれていないや。…心配して損した)

女の子「じゃあ、行こっか!」

男の子は返事もせずに、女の子の後について歩き出しました。一日中、いえ、チョコレートのために一年中、待っていたようなものです。でも、チョコレートが欲しいとは自分からは言い出せないのです。


続きはまた明日に。

 
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