台風の朝にふさわしい1枚。20世紀オーストリアの画家、オスカー・ココシュカ「風の花嫁」です。
激しい気性の持ち主で、絵も当時としては新しすぎました。厚塗りの油彩画で少々、病的ですね。下記のエピソードはうろ覚えなので、間違っていたらごめんなさい。
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「風の花嫁」は作曲家グスタフ・マーラーの未亡人アルマと、ココシュカ自身を描いた1枚です。マーラーを亡くして間もないアルマの依頼で、彼女の肖像を描き、二人は恋に落ちます。
「傑作を描いてくれるならば、あなたと結婚するわ」とアルマに言われて、描いたのが「風の花嫁」です。愛を描きながら、その後に待っている結末を予感させる絵です。
絵が完成した後、二人は一緒に暮らそうとしますが、アルマの亡き夫、マーラーのデスマスクをどこに置くかで意見が分かれ、結局二人は別れて、アルマは別の男性と再婚します。
失意のココシュカは、アルマに似せた等身大の人形を作らせて、連れまわします。ある時に、ココシュカは人形にワインをかけ、自ら壊して、人形との生活は終わります。
その後、ココシュカは別の女性と結婚。アルマが70歳の時に電報を打ったそうです。「愛しいアルマ、僕たちは「風の花嫁」の中で永遠に結ばれているのです」。
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結ばれない恋ならば、せめて作品の中だけでもということなのでしょう。人生は終わっても、名前のある人なら作品だけ残りますからね。私は2008年に「風の花嫁」を描いています。
原画より穏やかになってしまって、これでは「そよ風の花嫁」ですね。ココシュカのエピソードは切ないので、原画では握っている女性の手を、男性に添えてあげました。
原画は油絵の具が厚塗りすぎて、展示しているスイスのバーゼル美術館から動かせないそうです。
「風の花嫁」は別名「テンペスト(嵐)」ともいうそうです。心の中の嵐が、吹き荒れた後に待っているのが青空ならばいいのですが。
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