ブラウンを探して

先日、アガサ・クリスティーの「秘密機関」を読み終えました。クリスティー長編2作目で、カップル探偵のトミーとタペンス登場の物語です。タイトルがほんのり匂わせるように、これはスパイアクションです。けれども、主人公達は超人というより、親しみやすい等身大の若者です。
途中、彼らは謎の「ブラウン氏」なる人物を探すことになります。先日、私もブラウンを探しておりました。せっかくなので、探偵小説の手記風に綴ってみます。

ヴァンダイクブラウン_色鉛筆イラスト
仲間と一緒のブラウンなら見つかるが、単独では、なかなかお見かけできない。でも、まあいい。私には「ブラウン」以外の手がかりがあるのだ。「ヴァンダイクブラウン」そう、呼ぶのだ。コードナンバーも分かっている。…しかしながら、どこで見かけられるというのだろうか。
…いくつもの街を歩いて、果てには単独のブラウン、いや仲間達一人ずつを手に入れることは出来なくなると、張り紙があった。何ということだ! ブラウンの指定席には、もう姿はない。
今まで、「ヴァンダイクブラウン」の生まれにこだわっていた。けれど、ブラウンの名が付き、近い仕事が出来ればいいのではないだろうか。
何と、生まれは違うが、出身国が一緒の「ヴァンダイクブラウン」にお目にかかった! さあ、試してみよう! おぉ、やはりその名は間違いではなかったな。 よし、今日から私の元で働いてもらおう。

さて一体、何について書いているか、分かりました? ピンと来られた方は、美術に造詣が深いか、私のブログ読者。
私が探していた「ブラウン」は人物ではありません。色鉛筆です。先月、ブログに一度書きましたが、色鉛筆の焦げ茶を探してたのです。調べたら「ヴァンダイクブラウン」という色名でした。「ヴァンダイク」は17世紀の画家で、彼が好んだ色に名前がつけられたそうです。
上記の手記を補足しておきます。
・仲間と一緒 → セット販売
・コードナンバー → 色鉛筆の色番号
・単独のブラウン、いや仲間達一人ずつを手に入れることは出来なくなると、張り紙 → 単品での販売が在庫限りで、終了すると張り紙
・ブラウンの指定席には、もう姿はない → ヴァンダイクブラウンはすでに売れてしまった
・生まれにこだわっていた → 同メーカー、同ブランドのヴァンダイクブラウンが欲しかった
・生まれは違うが、出身国が一緒 → メーカーは違うが、原産国が一緒だった
画家ヴァンダイクは、アントウェルペン(現在、ベルギー第2の都市)出身で、晩年はイギリスの宮廷画家をしていました。まるでクリスティーの代表作、名探偵ポワロみたいな経歴です。「ヴァンダイクブラウン」がクリスティー作品に登場しても面白かったかもしれませんね。
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