遅れましてバレンタイン

よく「少年と少女」のイラストを描くのですが、このところ描いてなかったような気がします。たまには、イラストだけでなく、お話をつけても良いかなと、試みで描いてみます。この前、バレンタインデーでしたが、こんな二人も、どこかにいるんじゃないかと思って…。




遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
男の子と、女の子の二人はいつも仲良しです。短い2月も、もう半分以上が過ぎました。しかし、このところ、男の子は女の子に対して、そっけない様子です。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
女の子「私、何かしたかな?」。友達の小鳥が、近くの枝に止まっていたので聞いてみました。「最近、態度が冷たいんだ。どうしてなんだろう?」
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
小鳥「いつ頃から冷たいの?」
女の子「ここ、一週間くらいかな」
小鳥「一週間前からか…、一週間前というと、あ、バレンタインかな。チョコレートとかあげた?」
女の子「ううん。聞いたら、『別にいいよ』って。だから、あげなかった」
小鳥「本当は欲しかったんじゃないのかな?」
女の子「えぇ~、だったら、そういえばいいのに。素直じゃないなぁ」
とはいえ、男の子がいつまでも不機嫌なのも困ります。物は試しで、女の子は遅れてバレンタインチョコレートを用意することにしました。「時期が過ぎたから、安くなっていて、お得!」
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
女の子はせっかくなので、手づくり用のお菓子材料を買って、チョコレートクッキーを作ることにしました。それというもの、出来合いのチョコレートは、値引き品だったことがバレバレなので、さすがにやめました。
女の子「せっかくだから大きいクッキーを作ってみるわ!」
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
しばらくすると、女の子の家から甘い香りがしてきました。焼きあがったクッキーをオーブンから取り出して、テーブルに運ぼうとした時、電気コードに足を引っ掛けてしまいました。クッキーが宙に舞います。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
ちょうどその時、男の子が、女の子の家の隣を通りかかりました。甘い香りに誘われて、窓から家の中をのぞくと、女の子が泣いています。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
男の子は慌てて家の呼び鈴を鳴らします。女の子が迎え入れると、男の子が「大丈夫? どうしたの!」と、家の中に飛び込んできます。部屋の床には、真っ二つに割れたクッキーが落ちていました。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
男の子「せっかく作ったのに、残念だったね」
女の子「そうよ! 遅れたけれど、バレンタインのチョコレートクッキーだったんだから」
開いたドアから、小鳥が飛んできました。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
小鳥「そうだよ。彼女は君にあげるつもりで、一生懸命クッキーを手づくりしたんだよ。ちょっと遅れちゃったけれどね」
男の子「僕のために?…別に良かったのに」
女の子「じゃあ、床に落としちゃったし、私と小鳥さんで食べるわ! いいでしょ、小鳥さん」
男の子は、困った様子で小鳥を見ました。小鳥は男の子の肩にとまり、腹の虫の鳴き真似をしました。
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
女の子「あら、お腹が空いているのね。床に落ちて割れたクッキーしかないけれど、一緒に食べてくれる?」
男の子は黙ってうなずきました。
割れたチョコレートクッキーでティータイムです。クッキーは割れてしまったけれど、一緒に食べられて良かったかもしれません。女の子はクッキーのかけらを小鳥に渡しながら、こっそりささやきました。「腹の虫の鳴き真似、上手だったわ」
遅れましてバレンタイン_色鉛筆イラスト
それからというもの、男の子の機嫌は直り、仲良しの二人に戻りました。




小鳥がしゃべる絵本風の世界なのに、時期が過ぎた後の値引き品や電気コードは現実味たっぷりで、あまりよろしくないかもしれませんね…。話の展開も含めて、思いついたままの個人作品なのでお許しください。
お話を考えるのは好きなのですが、思いついた後「話をきちんと練って、絵もばっちり描かなければ!」と思って、放っておいたネタばかり。「ネタ」をひっくり返して、何かの「種」にできるように、思いついたらメモをするように、ちょこっと描いていきます。

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